絵本

絵本が完成しました!個展で販売します。

個展に合わせて絵本が出来上がりました!

サイズは、幅160㎜、高さ200㎜ ハードカバー、見返し、薄紫色のトレーシングペーパーを遊び紙に、本文の前と後にそれぞれ配置してあります。糸綴じ、32ページです。印刷は藤原印刷さんにお願いしました。

手元に届いたのは8月11日で、個展に間に合わせていただいて感謝でいっぱいです。17日から個展がはじまります。どうぞよろしくお願いいたします。

絵本のお話を下に書いていますが、そこからどんどん世界が膨らんで、夢が叶いました。

絵本ができるまでの顛末をここにも置きます。

絵本を作っています。藤原印刷さんのクラフトプレスです。もうすぐ家に届きます。月光荘での個展で販売します。絵本を作るのは、今までいつかは叶えたいけれど、叶わないと思っていた夢でした。

左にあるのが、実際の本の模型となる最初の1冊「束見本」です。
本を印刷・製本する前に、実際に使う紙を使って、背表紙の厚さや表紙の大きさを見る、たった1冊だけ作る、中身が真っ白な本です。

束見本に挟んであるのが、印刷したときに一冊手で切り出した記念すべき本の中身「切り出し」です。
ふんわりした、やわらかい手触りの、水彩やパステルに合いそうな紙を選びました。本の中身そのままを1冊、製本前に送って下さいました。実際の本と同じように、その中も糸綴じになっています。

外側にある薄紫の紙が、表紙です。印刷前の最終段階で、担当者さんが赤文字でチェックを入れてくれたものです。今回、本の表紙も本文も作成させていただいて、位置など不安でしたが、本当にいろいろと質問に答えて下さって、長年の夢を叶えていただけました。

厚紙を表紙でくるんで、オーロラコートという名前のPP加工をします。内側からは見返しの紙で包みます。
見返しの裏に薄紫のトレーシングペーパーが挟まって、本文の最初のページが透けて見えます。

最初、開いたときの見返しが雨の色で、後ろの方の見返しが魔法で解決した世界をイメージした薄紫にしたかったのですが、構造上、厚紙に貼る見返しは同じものになってしまうそうです。

そこで、いっしょに担当者さんが考えて下さって、紙の打ち合わせに行ったとき、そのときたくさん出して下さった見本の中の、色のついたトレーシングペーパーの束で、これだ!となったのが、その、薄紫色のトレーシングペーパーでした。

見返しにトレーシングペーパーを挟むことは、技術的に大変だったと思いますが、
職人さんの技術力で、ある工夫をして叶えていただけたそうです。(話していいのかわからないのでオフレコで..、とはいえ、本を見たら構造がわかっていただけると思います)

今回、一冊の絵本を作る過程を最初から最後まで体験することができて、本づくりにはたくさんの方がかかわっていて、担当の方が夢を膨らませてくれて最後まで励ましながら伴走してくださったので走りきれた気がします。ここまでいろいろな方が助けて下さいました。しばらく投稿もできなかったのは、ずっと家にこもって絵本を描いていたからでした。間に合って嬉しい。

東京の皆さんも松本の皆さんも、素晴らしい色校正をして下さった方、印刷に関わる工場のいろいろな方、あたたかいスタッフの方々、本当に有難うございます。

そして、出会った中で励まして下さったみなさん、絵を撮影するために力を貸して下さった方、最終トラックでエールをくださったお二人、「絵本ができたら交換しようね」と本を下さったアーティストの方、(おかげで何が何でも作らねば!と決意できました。)
もちろん私の先生にも。先生がいなければ、私は自分の絵を人に見せることもできなかったと思います。

そして、以前、月光荘の画室1で展示をしていた林季里さんに。とても素敵な絵を描く方で、展示が不安な私に優しくいろいろなお話をしてくださいました。その節は本当に有難うございました。

そのときに林さんが展示、販売されていた絵本を購入させていただいて、家で読んでいるうちに、こんな素敵な本を私も作れたら…と夢見ました。奥付に「藤原印刷」さんの名前を見つけて、サイトを見て、「ここで作りたい!」という気持ちが湧いて、お問い合わせメールを書いていました。あのときの文章は残っていませんが、たぶん支離滅裂な文章だったと思います。かなり日が詰まっていたので、お受けいただけるメールをいただいたときは本当に嬉しかったです。

絵本の作業をしながら、本当にできるのだろうか?と、くじけそうなときは、林さんの絵本「Easy, easy.」に目をやると、それは日本で言う「朝飯前だよ」というような、カンタン、カンタン、と励ましてくれるような世界の言葉を絵本にしたもので、それに励まされていました。あの出会いがなければ、私は絵本を作れていなかったと思います。本当に、みんなみんな、ここに書ききれていないすべての人に、本当にありがとうございました!!

今まで描いた絵や、これから描く絵におはなしを付けていこうと思います

「本の妖精」

ある夜、男の子はひとりでベッドにいました。
いつからここにいるのか、ここはどこなのか、いくら思い出そうとしても思い出すことができません。

男の子がまわりを見ると、たくさんの本が部屋にありました。

「そうだ、僕はこの本がほんとうに好きだった。辛いときや、悲しいとき、いつもこの本がそばにいてくれたんだっけ」

男の子の胸に、とつぜんあたたかい気持ちがあふれてきました。

男の子はベッドの上にあった本を高くかかげました。

「本があるからぼくはこうしてここにいるんだなぁ。ありがとう。ぼくは本に教えてもらったこと、辛いときにいろんな世界を見せてもらったこと、あたたかい気持ちを思い出させてくれたことを忘れないよ」

すると、キラキラと金や銀や、うすももいろや、淡い空のような、見たことのないようなきれいな粉が降ってきて、男の子の部屋は、なぜだかポウッとあたたかい光に照らされました。そこに今まで読んだ本の中に出てきた妖精や、天使さまや、いろいろな大好きだった動物や、あたたかい思い出を持つものたちが、光をまとって男の子の上から降ってきたのです。

「きょうは、本のお祭りの日だから君に会いにきたよ。今日だけ、こうしてわたしたちや、ぼくたち本の中の精は、君と話ができるんだ。」

男の子は、とても嬉しくなって、そのあたたかさを感じていました。そして、みんなをもっとよく見ようとしましたが、眠くなってそれ以上起きていることができず、目を閉じました。

「たとえいつもは見えなくても、ぼくたちはずっと君のそばにいるよ。」本の中の妖精や天使や動物たちの声が聞こえました。

窓から光が差し、目を覚ますとそこはいつもの部屋でした。

「僕はいつも、みんながいっしょにいてくれることを知っているんだ。」

男の子の胸には、まだそのときのあたたかい気持ちのかけらが、いつまでもずっと残っていました。