絵本

今まで描いた絵や、これから描く絵におはなしを付けていこうと思います

「本の妖精」

ある夜、男の子はひとりでベッドにいました。
いつからここにいるのか、ここはどこなのか、いくら思い出そうとしても思い出すことができません。

男の子がまわりを見ると、たくさんの本が部屋にありました。

「そうだ、僕はこの本がほんとうに好きだった。辛いときや、悲しいとき、いつもこの本がそばにいてくれたんだっけ」

男の子の胸に、とつぜんあたたかい気持ちがあふれてきました。

男の子はベッドの上にあった本を高くかかげました。

「本があるからぼくはこうしてここにいるんだなぁ。ありがとう。ぼくは本に教えてもらったこと、辛いときにいろんな世界を見せてもらったこと、あたたかい気持ちを思い出させてくれたことを忘れないよ」

すると、キラキラと金や銀や、うすももいろや、淡い空のような、見たことのないようなきれいな粉が降ってきて、男の子の部屋は、なぜだかポウッとあたたかい光に照らされました。そこに今まで読んだ本の中に出てきた妖精や、天使さまや、いろいろな大好きだった動物や、あたたかい思い出を持つものたちが、光をまとって男の子の上から降ってきたのです。

「きょうは、本のお祭りの日だから君に会いにきたよ。今日だけ、こうしてわたしたちや、ぼくたち本の中の精は、君と話ができるんだ。」

男の子は、とても嬉しくなって、そのあたたかさを感じていました。そして、みんなをもっとよく見ようとしましたが、眠くなってそれ以上起きていることができず、目を閉じました。

「たとえいつもは見えなくても、ぼくたちはずっと君のそばにいるよ。」本の中の妖精や天使や動物たちの声が聞こえました。

窓から光が差し、目を覚ますとそこはいつもの部屋でした。

「僕はいつも、みんながいっしょにいてくれることを知っているんだ。」

男の子の胸には、まだそのときのあたたかい気持ちのかけらが、いつまでもずっと残っていました。